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私の読書感想メモ
山田 太一 (著) 誰かへの手紙のように
遠い闇の中に浮かぶ赤いネオンの十字架、少年の日に高台のプラットフォームから見た広い空と海の記憶、家族のたてる哀しい音、少年の背中にぶつかる石…。静かに心に沁みわたるエッセイ集。 目次 赤いネオンの十字架 差入れ屋さんの思い出 少年たちの話 明るい話 勝負の陰影 二本の映画 愚かな質問 小津安二郎の選択 小さな夢 紙〔ほか〕 |
夜が更けたことに何の意味があろう。 人が死ぬことに何の意味があろう 雪が降ることに何の意味があろう 花が美しいことに何の意味があろう。 鶏が泣くlことは無意味である。(略) 一切の事実は無意味である。 生きていることも無意味である。 無意味であるが面白い。 面白いことは事実であろう。 60代に入ると、意外なほど近くにきている死神と穏やかに向き合えない。 気配を感じると過度に反応して何をしても無意味だというような錯覚に落ち込む。 いや、感傷ではなく事実何をしても無意味かもしれない。 少しずつ現世から離れてゆく。あれこれの欲望に虚しさも身体が教えてくれる |
生きるかなしみ
筑摩書房 (1995-01-24出版)
人は誰でも心の底に、さまざまなかなしみを抱きながら生きている。
病や老いだけでなく、ほんの小さなことや、時には愛するがためのかなしさもある。
今、大切なことは「生きるかなしさ」に目を向け、人間のはかなさ、無力を知ることではないだろうか。
「生きるかなしみ」と真摯に直面し、人生の幅と厚みを増した先人達の諸相を読む。
断念するということ(山田/太一)
或る朝の(吉野/弘)
覚悟を決める・最後の修業(佐藤/愛子)
めがねの悲しみ(円地/文子)
私のアンドレ(時実/新子)
兄のトランク(宮沢/清六)
二度と人間に生まれたくない(宇野/信夫)
太宰治―贖罪の完成(五味/康祐)
山の人生(柳田/国男)
『秘められた日記』から(アンドレ#ジッド)〔ほか〕
異人たちとの夏
新潮社 (1991-11-25出版)
妻子と別れ、孤独な日々を送るシナリオ・ライターは、幼い頃死別した父母とそっくりな夫婦に出逢った。
こみあげてくる懐かしさ。
心安らぐ不思議な団欒。
しかし、年若い恋人は「もう決して彼らと逢わないで」と懇願した…。
静かすぎる都会の一夏、異界の人々との交渉を、ファンタスティックに、鬼気迫る筆で描き出す、名手山田太一の新しい小説世界。
第一回山本周五郎賞受賞作品。