私の小さな旅、トップに戻ります 私の読書メモに戻ります

プラウザの「←戻るボタン」で戻り下さい

私の読書感想メモ

佐藤 暁(さとうさとる)著 だれも知らない小さな国

だれも知らない小さな国 小学校3年生のときだった。もちの木をさがしにいったぼくは、こんもりした小山や杉林にかこまれた、
三角形の平地をみつけた。小さないずみがわき、まっかなつばきの花のさく、どこかふしぎな感じのする場所だった。
──そして、とうとうぼくは見た。小川に流れていく赤いくつの中で、虫のようなものが動いているのを。
小指ほどしかない小さな人たちが、手をふっているのを!

佐藤さとる[サトウサトル]
1928年、神奈川県に生まれる。「だれも知らない小さな国」で毎日出版文化賞・国際アンデルセン国内賞などを、
「おばあさんのひこうき」で児童福祉文化賞・野間児童文芸賞を、
日本の児童文学にファンタジーを根づかせた先駆的業績と諸作品に対して巌谷小波文芸賞を受賞。
日本のファンタジー作家の第一人者
佐藤 暁

あばあさんの飛行機
飛行機 小さな田舎町の小さな家に、編み物名人のおばあさんがいました。春がきて頼まれ仕事がなくなって、何を編もうか考えているときでした。
大きな黒っぽい蝶が窓から入ってきて、ひざにとまりました。見たところただ黒っぽい羽が、よく見ると美しいこまかい模様が浮き出ています。
名人のおばあさんは、この蝶の羽模様で肩かけを編むことに決めました。ところが、編みはじめるとむずかしい。
何度も何度もやり直して十日もかかってやっと五センチ巾の細い編み物ができたときです。
編み物はびくんびくんと動き出し、さらに編み進むと浮きあがり出し、編み巾が増すと、押さえたおばあさんまでがいっしょに浮きあがったのです。
―そこでおばあさんは、空とぶ飛行機を作ってみようと考えました―。