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私の読書感想メモ

野口三千三著  『野口体操・からだに貞く』春秋社 2002年

その動きが自分にとって気持ちいいかどうかを、からだに聞きながら行えという。

あくまでその人の個性、能力、好き嫌い、快・不快を大事にするのだ。

その結果、「力ずくでなければ出来ないような動きは出来なくてもよい」という言葉が出てくる。しかしそれは同時に、「力を抜けば抜くほど力が出る」という言葉にも通じる。
腹筋運動に似ている「おへそのまたたき」という動きがある。床に仰向けに寝て両手を頭上に伸ばし、臍の周辺の筋肉の緊張だけで上体を起こす。そのとき使う力が小さければ小さいほど上体の動きはなめらかに、腹から胸、首と順番に持ち上がって、一番遅れて頭がついてくる。

大正3年群馬県の生まれ。昭和9年群馬師範学校を卒業し小学校の教師となるが、教員生活と平行して勉強を続け、師範学校教師の検定試験に一番の成績で合格する。この間まったくの独学で、解剖学の専門書を何冊も暗記し、そん理論を自分のからだの感覚で確かめていくという作業を続けた。その結果皮肉なことに、死体の解剖を基礎とした体操の理論には、どうも現実のからだの動きと矛盾するところがあると気がついた。
 さらに第二次世界大戦の敗戦で、価値観のどんでん返しを体験。自分にとって一番信用できるものだけを手掛かりにして、新しく出発しようという思いが湧き上がってきた。その信用できるものというのが、焼け野原となった東京に厳然としてあった大地=自然であり、その自然の最も身近なあらわれとしてのからだだった。

1 体操による人間変革(体操による人間変革
からだは生きた皮袋 ほか)
2 ある日の体操実技(腕のぶら下げ
胴体や頭のぶら下げ ほか)
3 からだとコトバの探検(蒼頡は野口体操を習っていた?
漢字とヤマトコトバ ほか)
4 おへそのまたたき(からだの神に貞く
おへそのまたたき ほか)
5 体操とは占である(「ここで何が起こったか」
ローゼルとの出会い ほか)
内容(「MARC」データベースより)
「自分自身のからだの動きを手がかりにして、人間とは何かを探検する営みが体操」という著者が、体操の具体例や甲骨文字などをまじえながら、身体観や野口体操を語る。1977年柏樹社刊の新版。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
野口 三千三
1914年、群馬県生まれ。1934年、群馬県師範学校卒業。小学校訓導、群馬師範学校・東京体育専門学校助教授を経て、1949年から東京芸術大学教授。退官後に東京芸術大学名誉教授となる。戦後、「体操による人間変革は可能だ」という信念のもとに、独自の人間観と実技に基づく革命的な「野口体操」を創始。その後、「野口体操」を通して、演劇・美術・音楽等の世界に多大な影響を与える。1998年、逝去