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私の読書感想メモ

宮沢賢治・浜田台児  星の童話集



まことの星−堀尾青史

賢治が星に熱中したのは盛岡中学校の二年生。
丸いボ−ル紙で作られた星座図をぐるぐると回して、
その夜の星の位置と名称を確かめたりした。
自分でも紺色の大きな紙に星座を書き込んで部屋の壁にはっていた。

鉄砲が
冷たくなりて
南そら
あまりにしげく
星 流れたり(明治44年9月)賢治の作品に表れる最初の星。

よだかの星 冒頭によだかの醜さが強調される。
みにくいという運命的な条件によってよだかは
タカにいじめられ、良いことをしてもほかの鳥にいじめられる。
これは孤独な苦の世界である。

よだかは、あの美しいかわせみや、鳥の中の宝石のような峰すずめの兄さんでした。
よだかは鋭い爪も、するどいくちばしもありませんでしたから、どんなよわい鳥でも
よだかを怖がることはなかったのです。
それならば鷹と名前がついたのは不思議なようですが、よだかの羽が無暗に強くて、風をきって翔るときなどは
まるで鷹のように見えること、また鳴き声がどこか鷹に似ていたためです。
そのよだかが大きな口をあけて、たくさんの羽虫を食べる。自分は虫を食べ、またタカに殺される運命にある。それがこんなに辛いのだ、僕はもう虫を食べないで飢えて死のう。
いやその前にもう鷹が僕を殺すだろう。”
よだかはこうした修羅の世界からのがれて、憎しみや争いのない平和な世界にいきたいと祈る。

しかしそれはどこにあるのだろう。よだかはそらを飛んで星に聞く。
東西南北の星たちは、よだかのような鳥は資格なしと決めつけてしまう。
そういう哀しい、寂しいよだかが渾身の力をふりしぼって飛翔を試みる。
絶望の果ての死をかけた飛翔である、
キシキシキシッと高く高く叫び、どこまでもまっすぐに空にのぼっていきました。
それなのに星の大きさはさっきと変わりません。
よだかはすっかり羽がしびれてしまいました。
そして泪ぐんだ目をあげてもういっぺん空を見ました。
そうです。これがよだかの最後でした。
その結果としてやがてよだかは自分が星となって光っているのに気づくのだった。
すぐ隣りはカシオペアでした。天の川の青白い光がすぐ後ろになっていました。
そしてよだかの星は燃え続けました。いつまでもいつまでも燃えつづけました。
今でもまだ燃えています。
双子の星 双子の名前はチュンセ童子とボウセ童子。
銀笛をふいて星の運行を司る役目をしている。
2お日さまのお通りみちをはききよめ、
ひかりをちらせ あまの白雲
お日さまの お通りみちの石かけを
深くうずめよ あまの青雲”

大ガラスとサソリが喧嘩を始めました。
サソリは頭に深い傷をうけ、大ガラスは、胸を刺されて、両方ともウンとうなったまま
重なりあって気絶してしまいました。
蠍を家まで送っていきました。実に蠍の体は重たくて童子の10倍くらいはあるのです。
稲妻が童子たちに
「王様の命令でお迎えに参りました。王様はどう思われたか。
さっきからひどくお悦びです。」
二人は向き合って銀笛を吹きました。
鳥の北斗七星 「戦うものの内的感情です」と賢治は説明している。
賢治が盛岡農林学校在学中は第一次世界大戦中だった。
したがって兵役にとられればシベリア出兵ということもあり得たので、懲役検査を延期するか、どうかは宮沢家の重大な問題だった。
出征学徒が無法な戦争に命を捨てなければならないのなら、人間として死の意味を確かめたい。
死の価値を問いたいと願い、思う賢治の作品である。

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