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私の読書感想メモ

宮本輝  星宿海



異郷の地にて、姿を消した男。父の顔も知らぬ幼子をかかえた女と、
兄を追う弟のたぎる想い。大阪、尾道、瀬戸内の島々でしだいに浮かびあがる色濃い人間模様。
圧倒的抒情が貫ぬく最新長編。
星宿海とは中国の大河・黄河の源流の湿地帯の名前である.
黄河は,チベットの崑崙山脈の東にある青海という高地にある広い湿地「星宿海」から出て、
曲がりくねりながら東にすすみ、渤海へとそそいでいる.

星宿海
青海高地の黄河の源には、2つの湖が並んでいる.星宿海からでた黄河はオムスビ型のチャリンノール湖にそそぎ、そこから隣のやはりオムスビ型のオリンノール(ゴリンノール)湖にそそぎ、そこから流れ出て星星海という湿地帯をとおって、流れ出ている.
大突間島(尾道発→今治方面行き・吉海町)
四国本土から芸予諸島への玄関口、急潮の来島海峡を挟み、今治市の沖合約5キロに浮かぶ大島の西半分を占め、瀬戸内しまなみ海道でも最も景観に恵まれ、亀老山からは絵のように美しい多島海景がみえます。
また、春、島四国の頃ともなれば多くの巡拝者で賑わい、地元の人達の温かな接待は訪れる人の心を和ませ、今も変らぬ人情の地です。

亀老山展望台、大島・尾道 

黄河の水は天上より来る(マヨン)
 「黄河之水天上来、奔流到海不復回(黄河の水は天上より来る。奔流は海に注ぎて再び帰らず。)」
 唐代の詩仙、李白が詠んだ詩そのままに、天上を流れ広がる黄河
   (武田雅也「星への筏」角川春樹事務所,ブリタニカ地図帳より)
・星宿海
アーリン、ザーリン両姉妹湖の上流に広がる湖沼地帯を「星宿海」と呼ぶ。その名のとおり、天上の数限りないきら星が宿る水辺。一時は黄河の源流とも見なされたこともあったとのこと。
人間の足跡どころか、いかなる生き物の足跡もない死の砂漠を歩いてみたことがおありでしょうか。
あれは恐怖と蠱惑が混ざりあって湧き出てくるある種の快楽といえるかもしれません。
振り返ると自分の足跡が風紋の上に長々と穿たれているというのに、前方にはただ果てしない砂漠と風紋だけしかない光景のなかにたたずんでいるのは、快楽という言い方以外いかなる言葉もみつからないようです。
立ち停まり、振り返り、熱い天を仰いだあと、誰もがもっともっと足跡を前方に刻みつけたくなるのですが、
このまま朽ち果てるまで歩きつづけてしまいそうな恐怖を感じて自分を押しとどめることでしょう。

星々の悲しみ
文藝春秋 1984/08出版

喫茶店の壁から、夭折の画家がかいた「星々のかなしみ」を盗み出す若者など人生のあかしを求めて劇しく生きる青春群像を、
深い洞察であざやかに描いた傑作短篇集
宮本輝[ミヤモトテル]
1947年、兵庫県生まれ。本名は宮本正仁。兵庫県神戸市に生まれる。後、愛媛県、大阪府、富山県に転居。
サンケイ広告社でコピーライターとして働いた後、1977年に『泥の河』で第13回太宰治賞を受賞してデビュー。
翌1978年には『螢川』で第78回芥川賞を受賞し、作家としての地位を確立する。
一時は結核療養のため休筆。『優駿』で吉川英治文学賞、(歴代最年少40歳での受賞となる)、
JRA賞馬事文化賞追手門学院大学文学部卒業。1977年、「泥の河」で第13回太宰治賞、78年「螢川」で第78回芥川賞を受賞。
87年には『優駿』で第21回吉川英治文学賞を受ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


蛍川
◆泥の河◆蛍川
角川書店 (1986-06-20出版)

堂島川と土佐堀川が合流し、安治川と名を変えていく一角、まだ焼跡の名残りを伝えていた、
昭和30年の大阪の街を舞台に、河畔に住む少年と、川に浮かぶ廓舟で育つ姉弟のつかの間の交友を、
不思議な静寂のうちに描く、太宰治賞受賞作「泥の河」。
立山連峰を望む北陸の富山市を舞台に、熱を秘めた思春期の少年の心の動きと、
いたち川のはるか上流に降るという蛍の大群の絢爛たる乱舞を、妖かに、抒情的に描き、芥川賞を受賞した「蛍川」。
鮮烈な抒情がみなぎる、期待の新鋭の代表作二篇を収録。

優駿
新潮社 (1989-11-25出版)

生れる仔馬が牡馬でありますように。
風の申し子のように速く、嵐みたいに烈しく、名馬の天命をたずさえて生れますように…。
若者の祈りに応えて、北海道の小さな牧場に、1頭のサラブレッドが誕生した。
オラシオン(祈り)と名づけられた仔馬は、緑と光の原野のなかで育ち、順調に競走馬への道を歩みはじめるが、
それと共に、登場人物ひとりひとりの宿命的な劇が、幕を開けた―。
吉川英治文学賞受賞。

母の肉は子の肉、子の骨は母の骨なり…。
いのちの哀しさ尊さに突き当りながらも、虚無と喧噪のなかで人間の業から逃れられない男たち、女たち。
だが、そういう彼らも、いつしかオラシオンの美しさ危うさに魅せられて一体化し、
自らの愛と祈り、ついには運命そのものを賭けていった。
やがて迎えるダービー決戦―。

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