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私の読書感想メモ
宮尾登美子の世界―豪華愛蔵版
朝日新聞社 (2004-07-20出版) 宮尾文学はいかにして生まれたのか。 宮尾登美子の人生と作品、そして、秘蔵の品々―。 時代とともに生きた女たちの凛々しき姿を描き続ける、作家が歩んだ全軌跡。 櫂 春燈 朱夏 仁淀川 平家物語の女たち めぐる季節を生きて 蔵 一絃の琴 |
第1章 『宮尾本 平家物語』ができるまで(平家物語ゆかりの地を訪ねて;平家物語と向かい合う日々
;『宮尾本 平家物語』の読みどころ;源平合戦の図;『宮尾本 平家物語』を彩る女たち)
第2章 生いたちと自伝的四部作(櫂/春灯/朱夏;仁淀川/作家への道のり)
第3章 着物と愛しきものたち(壇ノ浦/宇野千代さんからの贈りもの/母の着物;大好きなものに囲まれて)
第4章 愛される宮尾文学(著作一覧;舞台、そして映像へ)
屋島・壇ノ浦−「源氏に追われて絶対絶命になったとき。 「もし私が時子さんならどうするだろうか」と考えるそうだ。 ・北海道の生活を満喫しれるが時には東京が恋しくなり、「淋しく思う」 ・着物 毎年師走に入ると着物の胸算用をする。親がそうしていたように、時代が変わっても 子の私に受け継がれた習慣の一つである。 |
生い立ちと自伝的四部作 櫂−綾子が13歳になるまでの少女期 高知の下町に生れ育った喜和は、十五の歳に渡世人・岩伍に嫁いだ。 芸妓紹介業を営み始めた夫は、商売にうちこみ家を顧みない。 胸を病む長男と放縦な次男を抱え必死に生きる喜和。 やがて岩伍が娘義太夫に生ませた綾子に深い愛をそそぐが…。 大正から昭和戦前の高知を舞台に、強さと弱さを併せもつ女の哀切な半生を描き切る。 作者自らの生家をモデルに、太宰治賞を受賞した名作。 |
春燈 −「最も書きにくかった」綾子の13歳から結婚する17歳まで |
朱夏−結婚後大陸に渡り、敗戦を迎え、引き揚げるまでの体験綾子、19歳。 土佐の開拓団の子弟教育のため、夫の要の満州(現、中国東北部)行が決まると、大陸での生活を夢み、 生後50日目の美耶を抱え、故郷を旅立った。 広野での生活は不便さ半分、楽しさ半分だったが、戦局は悪化し、やがて日本の敗戦が知らされた…。 夫と美耶、20歳の綾子、満州(現・中国東北部)での生活は、日本の敗戦により逆転、 凄絶この上ない地獄絵が展開された。 飢えと病におびえながら、飢餓の極限状況の中で、炊事やおむつ洗い等々の日常生活を強いられ、 ただ、ひたすら生きのびようと、逞しく戦っていった。 |
仁淀川 満州で敗戦を迎え、夫と幼い娘と共に必死に引揚げてきた二十歳の綾子は、故郷高知県の仁淀川のほとりにある夫の生家に身を落ち着ける。 農家の嫁として生活に疲れ果てて結核を発病した綾子に、さらに降りかかる最愛の母・喜和と父・岩伍の死。 絶望の底で、せめて愛娘に文章を遺そうと思い立った綾子の胸に「書くことの熱い喜び」がほとばしる。 作家への遙かな道のりが、いま始まった―。 |
宮尾 登美子【著】 平家物語の女たち
朝日新聞社 (2004-12-30出版)
『宮尾本』を生きた女性たち、その生き様を、著者自らが物語にそってやさしく紹介する。
第1章 平成の女から見た『平家物語』(なぜいま『平家物語』か;『平家物語』との出会い ほか)
第2章 清盛を育てた女たち(清盛像を変えたかった;祇園女御という人 ほか)
第3章 平家一門の姫たち(清盛の理想の人―藤原不比等;時子の家の事情 ほか)
第4章 滅びゆく平家(壇ノ浦の眺め;一門の眠る場所―七盛塚 ほか)
好きな女性は知盛の妻・明子と時子 ・清盛の理想は藤原不比等(ふひと) 徳子−高倉院から7年もお渡りがなかった。「座産」しやがんだ感じで産む。後ろには腰を抱く男の人が必要。 一度きりのお産で男子が生まれるものか? ・下関−赤間神宮−七盛塚 ・身代わりの天皇−時子が安徳天皇と守貞天皇(もりさだ) |
宮尾 登美子【著】 めぐる季節を生きて
講談社 (2002-05-15出版)
1 女のこよみ(ひじいさん;やぎの乳;床屋のおばさん ほか)
2 女のあしおと(御所人形;私と三月;得月楼とわたし ほか)
3 花のきもの(菊;梅;くす玉 ほか)
生母は、土佐の舞台に立っていた娘義太夫で私は生まれてすぐに父のもとに連れてこられた。 こういう事実を知ったのは小学6年。 玄人世界の女は花の着物を着ない−私は藤の花が好きである |
宮尾 登美子【著】 蔵
新潟の旧家、蔵元の田乃内家に生まれようやく育った娘、烈。
家族の愛と希望を一身にうけて成長していくが、小学校入学を前に、失明にいたる目の病を患っていることを知る。
過酷な運命を背負う烈と祖母、父母、叔母たちが織りなす愛と悲しみの旅が始まった―。
美しい全盲のひとり娘烈。
巡礼の途中で病死する母賀穂。
相つぐ不幸を打ち消すがごとく若い嫁をもらう父意造。
烈を育て上げ一途に意造を慕う叔母佐穂。
「あの蔵を全部、烈に下(くんな)せ」―打ち続く不幸に酒造りへの意欲も失った父意造に、
烈は見えぬ目に必死の願いをこめて訴えた。
女ながら蔵元を継いだ烈は、さらに蔵人・涼太への愛をまっしぐらに貫き、喜びの終末を迎える。
蔵元田乃内家をおそう数々の悲運にもめげず、気丈に成長した烈はやがて恋を知り、女ながら蔵元を継ごうと決意する―。
宮尾 登美子【著】 一絃の琴
5歳で漂白の旅絵師の弾く一絃琴に魅入られた土佐の上士の娘苗はその後の人生を琴に傾け尽す。
師有伯への淡い恋心、不幸な結婚、土佐一絃琴の盛名を響かせた市橋塾、女弟子蘭子との確執。
愛も憎しみも想いのすべてを一筋の糸に凝らした苗の生き方に、明治の女の矜恃と情念をみごと描出した直木賞受賞作。