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私の読書感想メモ

宮沢賢治  愛の童話集


宮沢賢治は独身を通したので女性との恋愛はなかったように
思われているがそうではない。
いくつかの愛を昇華させている。
賢治の恋愛体験の息吹きを生々しく感じるのは
この三編しかない。

母イチは生来おもいやりの深い誰にも親切な人だった。
春風のように柔らかく・優しくていつも笑顔で面倒をみた。
その母が「人は何のために生まれてきたかというと
人様のお役に立つためなんですよ」と賢治に教えた。 1984出版。
説明・堀尾青史
賢治が貧しく労が多い、農民の生活を少しでも向上させてやりたいと努力したのは、無私の精神だった。(仏教でいう菩薩行)
その自己犠牲の厳しさ・大きな愛の精神を持つ仲間が増えていたことを期待していた。

賢治の初恋
賢治の初恋は1914年、盛岡中学を卒業し、蓄膿症の手術のために、岩手病院(盛岡市)へ入院中で18歳だった。
手術後高熱が続き、発疹チフスの疑いがもたれ、父の看病をうけたが父もまた発病して病床の人となった。この時の看護婦さんに片思いをした。彼女に打ち明けた訳でもなく、いきなり父親に結婚させてくれと頼み込み反対されて苦しむ。

くるおしいほど思った女性はカトリック教会の学生だった。
当時の賢治は級長で授業料免除の特待生であったし、信仰していた浄土真宗から法華経・日蓮宗へ転じつつあった。
賢治にとっての第一義は信仰である。
浄土真宗は題目を唱え、仏にすがり、死後、浄土へいく。
法華経は題目を唱え、日々善行して、その結果として浄土にいく。
ということは厳しく、自己を律し、欲望を禁じ、行動に注意しなければならない。
恋愛感情を心の中にねじ伏せて、信念を高めていく。

親友の花巻高等女学校音楽教諭・藤原が音楽教室で音楽を楽しむ会、レコ−ド・コンサ−トに
集まる一人だった。
彼女は小学校の先生だったようだ。

32歳のときに伊豆大島に伊藤七雄・肺病で妹のチエが付き添っていた。
農芸学校を開こうとして賢治に土壌の調査を頼んだ。七雄は水沢の豪農で見合いを考えていた。
花巻に帰った賢治は伊藤に「結婚するならあの人だなぁ」
イモチ病が発生し、その手当てのために奔走し、倒れる。

結婚
「たしかにそれもいいことには違いないが
あっちもこっちもこんなに体が痛くっちゃね」と日記に書いてある。
シグナルとシグナレス
シグナルとシグナレス
この駅は花巻駅。どうにもみのらない恋愛かもしれないが、恋人は四次元空間に浮遊する。
二人とも一緒に夢を見ていていたのでした。
いつか霧が晴れてそらいちめんのほしが、青や橙やせわしくせわしくまたたき、向こうには真っ黒な倉庫の屋根が笑いながら立っていました。二人はまたほっと小さな息をしました
土神と狐
”樺の木」をめぐる三角関係。つらく、悲しく、淋しくなる。
狐にしろ土神にしても修羅そのものだ。
結局救われないで終わる。
土神はいきなり狐を地べたに投げ込んでぐちゃぐちゃに四・五へん踏みつけました。
それからぐったり横になっている狐の屍骸のレ−ンコ−トのかくしの中に手を入れてみました。
そのかくしの中には茶色なかもがやの穂が二本入っていました。
土神はさっきからあいていた口をそのまま、まるで途方もない声で泣きました。
その泪は雨のように狐に降り、狐はいよいよ首をぐんなりしてうすら笑ったようになつて死んでいたのです。
ガドルフの百合
白百合−百合は清浄にして神聖。ガドルフは作者その人と見られる。足を伸ばして歩いている。
六角形の建物につく。(おれの恋はいまあの百合の花なのだ。いまあの百合の花なのだ。
砕けるなよ)
そこで百合を見るが激しい雷雨に打たれて高い百合は倒れてしまう。
おれの百合は勝ったのだ。

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