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私の読書感想メモ

菊池寛    忠直卿行状記 恩讐の彼方に 三人兄弟 真珠夫人

恩讐の彼方に・忠直卿行状記 他八篇
◆三浦右衛門の最後◆忠直卿行状記◆恩讐の彼方に◆藤十郎の恋◆形◆名君
◆蘭学事始◆入れ札◆俊寛◆頸縊り上人

岩波書店 (1993-07-16出版)

有名な九州耶馬渓、青の洞門の伝説を小説化した『恩讐の彼方に』、
封建制下のいわゆる殿様の人間的悲劇を描いた『忠直卿行状記』は、
テーマ小説の創始者たる菊池寛の多くの作品中の傑作として知られる。
他に『三浦右衛門の最後』『藤十郎の恋』『形』『名君』『蘭学事始』『入れ札』『俊寛』『頸縊り上人』を収める。

菊池寛[キクチカン]
1888(明治21)年、高松市生れ。1916(大正5)年、京大を卒業後、「時事新報」記者を勤めるかたわら、
「恩讐の彼方に」等の短編小説を発表して、新進作家としての地位を確立した。
さらに面白さと平易さを重視した新聞小説『真珠夫人』で、一躍、流行作家になった。
その一方、鋭いジャーナリスト感覚から’23年、「文芸春秋」を創刊、文芸家協会会長等を務め、“文壇の大御所”と呼ばれた。
1948(昭和23)年歿
 苦学して東大に入ったために「憂鬱なる豚」というニックネ-ム。
 無頓着で無精だったので顔も洗わず・風呂も入らなかった。
食べたものを吐く。「だってうまいのはノド三寸だろう。それ以上何も、消化以上のものを、胃に負担させて、
病気の原因を作ることはないじゃないか」

 佐野学が倉田百三の妹とデ−トに行くときに、友人のマントを無断で持ち出し、さらに佐野は菊池に命じてそのマントを買い入れさせ菊池から3円を借りた。
ところが友人が盗難届けを出したために買い入れした菊池が嫌疑をかけられ、
菊池は佐野をかばって「自分がやった」と申し出て退学になった。
菊池は京大の英文科に転校し、図書館に通って、本を読み、作家修行の基礎を作った


真珠夫人

新潮社 (2002-08-01出版)
女の名は、瑠璃子。
真珠の如き凄艶な美貌を誇る男爵令嬢。
恋人と将来を誓い、幸福に彩られていたその運命を狂わせたのは、思いもよらぬ奸計だった。
荘田勝平、一介の貿易商から身を興し、大事業家にのし上がった男。
手に届かぬ清浄の美への嫉妬心から、瑠璃子の父を陥れ、恋人との仲を引き裂いた。
金の力で愛を跪かせようとする男に、女は純潔と媚態を武器に闘いを挑むことを決意する―。

真珠のように美しく気高い、男爵の娘・瑠璃子は、子爵の息子・直也と潔い交際をしていた。
が、家の借金と名誉のため、成金である勝平の妻に。
体を許さぬうちに勝平も死に、未亡人となった瑠璃子。
サロンに集う男たちを弄び、孔雀のように嫣然と微笑む妖婦と化した彼女の心の内とは。