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私の読書感想メモ

福田 甲子雄【著】忘れられない名句


近世から現代まで238句。
誰でも知っている名句から、心に響く秀句まで、愛蔵の抜書きノートから珠玉の句を厳選。
平成十六年度、第三十八回蛇笏賞受賞作家による名句鑑賞。

福田甲子雄[フクダキネオ]
昭和2年、山梨県飯野村(現・南アルプス市飯野町)生まれ。
昭和22年「雲母」飯田蛇笏選・春夏秋冬欄に出句。
昭和38年より平成4年8月号終刊まで「雲母」編集部に拠り、
平成4年12月より「白露」創刊に尽力。
平成5年3月、「白露」創刊同人となる。平成16年、第六句集『草虱』で、第三十八回蛇笏賞受賞

名前 言葉
木下 夕爾
(きのしたゆうじ)
ひとすじの春のひかりの厨(くりや)水
(厨(くりや)水とは台所に備えられている水道)
松尾 芭蕉 行春(ゆくはる)を近江の人とをしみける
芥川龍之介 春雨の中や雪おく甲斐の山
(真っ白な雪をおく峰と平地の春雨が対比されている)
夏目 漱石 春の水岩を抱いて流れけり
河東碧梧桐
(かわひがしへきごろう)
赤い椿白い椿と落ちにけり
向井去来
(むかいきょらい)
一昨日はあの山超(こえ)ツ花盛り
(一昨日超えてきた山が鮮明にみえ、あのときは桜が満開であったことへの思いを深くする。一昨日の自分と今日の自分との定めなき時の流れ
寺山 修二 方言かなし菫(すみれ)に語り及ぶとき
(青森の方言が都会で受け入れられない寂しさを正直に告白している。例えば「すみれ」を「しみれ」と発言している
正岡 子規 五月雨や上野の山も見飽きたり
杉山 杉風
(すぎやまさんぷう)
空も地も一つになりね五月雨(さつきあめ)
五月雨とは梅雨のこと
榎本 其角
えのもときかく
越後屋に衣さく音や衣替え
越後屋とは現在の三越の前身で呉服店。越後屋から次から次へと布を裂く音が見事に表現されている
鈴木 真砂女
(「すずきまさじょ)
夏帯や一途というは美しく
(一途に生きてきたあれこれを思い出してみたら、苦労してきたことさえ美しく感じられる。
加賀 千代
(かがのちよ)
分け入れば風さへきえて諫鼓鳥(かんことり)
(初夏の林は奥に入っていくと風さえもたえてしまう)
与謝 蕪村 月天心(てんしん)貧しき町を通りけり
(月天心とは、月が空の真ん中にあること。十五夜なれば更けてからの情景)
河合 曾良
(かわいそら)
撫で付し(なでつけし)白髪のはねる秋の風
(髪の毛のはねて逆らうことにより老いへの抵抗が感じられる)
富田 木歩
(とみた・もっぽ)
かそけくも咽喉(のど)なる妹(いも)よ鳳仙花(ほうせんか)
角川 春樹 そこにあるすすきが遠し檻の中
小林一茶 うつくしや年暮れきりし夜の空
種田 山頭火 超えてゆく山また山は冬の山
久保田 万太郎 湯豆腐やいのちのはてのうすあかり
(文化勲章をもらったが先妻は自殺・一人息子に先立たれ、晩年に得た愛人にも先立たれる。いのちのはてのうすあかりに西方浄土を感じている)
中村 汀女
(なかむらていじょ)
咳の子のなぞなぞあそびきりもなや
(咳は冬の季語になっている)
山口 誓子
(やまぐちせいし)
学問のさびしさに堪え炭(すみ)をつぐ
高浜 虚子 大空に羽子(はね)の白妙(しらたえ)とどまれり
(白妙はカジノキの皮の繊維で織った布のことで、美しい白さのたとえとされてきた。

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