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私の読書感想メモ

深沢七郎 楢山節考
1985/02出版

信州の山深い寒村。いまだ元気に働くおりんだったが、今年、楢山まいりを迎えようとしていた。
それは、70歳の冬に皆、息子に背負われ楢山へ捨て置かれるという村の掟のこと。
神に召されると喜ぶおりんに対し、息子・辰平は気持ちの整理がつかない……。
「おりん」は自分の人生の終盤に、必要な仕事を片づけていく。
自分の葬式用の振る舞い酒、息子の嫁さがし、老人らしく死ぬために歯欠けになる…。
人からはこっけいとも映るほどに、まっすぐ豪快である。
愛などという言葉ではおおいきれないほど、ずぶとく、たくましく、
身の程を知った女。

わしは山に行って新しい莚の上にきれいな根性で座っているのだ
からす

最後に残されたのは自分の命にしまつをつける仕事のみ。
いよいよ旅立ちだという日、息子に背負われて山へ入る。
そこで望んでいた雪が振るのだ。

物語は最後にこんな歌が出て、終わる。これが最後の最後の一行になっている。
なんぼ寒いとって 綿入れを
山へ行くにゃ 着せられぬ