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私の読書感想メモ

E・B・ホワイトの 『シャ-ロットのおくりもの』



子ブタとシャーロットのかけがえのない友情を描いた児童文学の最高傑作!19か国、1000万読者に愛され続けるロングセラー。
静かな農場の納屋に住む子ブタのウィルバーとクモのシャーロット。
ある日シャーロットは、ハムにされる子ブタを救うため、「奇跡」をおこします。
 子ブタのウィルバーとクモのシャーロットのほのぼのとした友情の物語の中で、作者からあなたへの贈り物を探してみませんか。
そして、あなたが幼い日々に置きわすれて来たであろう心をもう一度見つけてみませんか。
1952年当時、児童文学の中で、死を語った作者の勇気を称えたいと思います。
 大変仲が良いクモのシャーロットと子ブタのウィルバーを取り巻くファンタジーの原題はSharlotte's Webです。
作者がシャーロットのクモの巣に託した奥深いメッセージは、読者である私たちへのすばらしい贈り物です。

ホワイト,E.B.[White,E.B.]
1899〜1985年。ニューヨーク州、マウントヴァーノン生まれ。1921年、コーネル大学卒業。
その後、雑誌「ニューヨーカー」のライター、編集者として、多くの小説や詩、評論を発表。
子どものために書かれた物語には、『シャーロットのおくりもの』のほかに
『スチュアートの大ぼうけん』(あすなろ書房)、『白鳥のトランペット』がある。1970年、ローラ・インガルス・ワイルダー賞受賞
ウイリアムズ,ガース[Williams,Garth]
1912〜1996年。ニューヨーク生まれ。
ロンドンのウエストミンスター美術学校、王立美術学校で美術を学ぶ。
絵本に『しろいうさぎとくろいうさぎ』、さし絵にワイルダー作『インガルス一家の物語』シリーズ(共に福音館書店)などがある

未熟児として生まれ、その場で殺されそうになっていた子ブタのウィルバーを救い、
ザッカーマンさんの農場に売られてゆくまで大切に育てたのはファーンという8歳の少女でした。
ファーンは、ウィルバーに会うために農場の納屋へと通い、そこで動物達と語り合います。ザッカーマンさんの農場で飼われている動物たちは、ガチョウの夫婦、羊、牛、ブタ、クモ…そして、納屋の地下に穴を掘って住んでいるネズミまでが、静かな農場の中で、お互いに語り合いながら生きています。
 ファーンは、動物達の言葉が分かる唯一の人間として、私たち読者と動物達の世界への橋渡し的な存在です。
子ブタのウィルバーとクモのシャーロットのほのぼのとした友情の物語の中で、
ファーンの成長が季節の移ろいのように自然に描かれています。

 この物語のクモのシャーロットは、「クモの一生なんて、わなをしかけたり、羽虫を食べたりの、さんざんなものなの。」と自分の残酷さを自ら知っている賢明なクモです。
「もしも私が虫をつかまえて食べないと、虫がどんどん増えて、この地球をこわし、すべてをほろぼしてしまうってこと。
あなたは知っているかした?獲物は食べる前に麻酔をうって眠らせる。そうすれば痛みを感じないでしょう」

農場に買われて来た子ブタのウィルバーと仲良しになったシャーロットは、
ハムやベーコンにするために殺されそうになっているウィルバーを救うことを告げ、
奇跡としか思えないような業を成し遂げることに…。
「人間をあざむく」ことを考えて
自分のクモの巣に子ブタのウィルバーに注目させるべき文字を編むこむのです。
「たいしたブタ」という文字を書いて奇跡を起こす。

ウィルバーの命を救ったシャーロットは、「たまごぶくろ」を残して息絶えてゆきます。
シャーロットの死とシャーロットが遺した「たまごぶくろ」は、命の本質の象徴しているのではないでしょうか。
ウィルバーはシャーロットの残した「たまごぶくろ」から514個のタマゴを無事に誕生させます。
そして毎年2・3匹のクモの子は納屋にとどまり、戸口に巣を作りウィルバーと暮らしました。ウィルバーはシャーロットのことをけっして忘れませんでした。
子供や孫達のこともウィルバーは大好きでしたがシャーロットには誰もかないませんでした。シャーロットはウィルバーの心のなかで、誰ともくらべようがないほど大きな位置を占めていたのです。
すばらしい言葉が書けて、しかも、ほんとうに親しい友達というのは、なかなか得られるものではありません。