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私の読書感想メモ

嵐山 光三郎著   芭蕉紀行


『野ざらし紀行』『冬の日』『笈の小文』『奥の細道』はもちろん、
従来の案内書にはない『かしま紀行』『更科紀行』
ゆかりのスポットも完全網羅。
中学三年で芭蕉の言霊にふれ、自らも「旅を栖」とする著者が、足と目と感性で俳聖の全足跡を辿る。
研究者のあいだではタブー視されている、蕉翁の衆道にも踏み込んだ稀有な書。
沿道の美味な食べ物も紹介。
著者手描きの絵地図入り。
1942年東京生まれ。雑誌「太陽」編集長を経て独立、執筆活動に入る。
1988年「素人庖丁記」で講談社エッセイ賞受賞、2000年「芭蕉の誘惑」に
よりJTB紀行文学大賞受賞。一年の半分は国内外の旅行に費やし、
旅先でのエピソードを氏一流の解釈で綴った旅行記やエッセイが多数。
豊富な経験をもとに語る講演は必聴。
奥の細道−
元禄2年3月27日〜9月6日(46歳)150日・2400キロメ−トル歩き、5年後に完成。

月日は百代の過客(はくたいのかかく)にして行かふ年も又旅人也。
舟の上に生涯をうかべ、馬の口とらえて老をむかふる物は日〃旅にして旅を栖とす。
古人も多く旅に死せるあり。予もいづれの年よりか片雲の風にさそはれて、
漂白の思ひやまず、海濱にさすらへ、去年の秋江上の破屋に蜘の古巣をはらひてやゝ年も暮、
春立る霞の空に白川の関こえんと、そゞろ神の物につきて心をくるはせ、
道祖神のまねきにあひて、取もの手につかず。もゝ引の破をつゞり、笠の緒付かえて、
三里に灸すゆるより、松嶋の月先心にかゝりて、住る方は人に譲り、杉風が別墅に移るに、

月日は百代の過客:<つきひははくたいのかかく>と読む。李白の詩に「夫れ天地は万物の逆旅、光陰は百代の過客なり。」とあるに依る。
海浜にさすらへ:前年の『笈の小文』の旅のこと。
面八句を庵の柱に懸置。
芭蕉が最後に仕上げたかったのは須磨や明石を経て長崎へと至る“南の細道”だったのです。
それは落柿舎にいる弟子の去来が長崎の出身だったためです
BY−AKIYAMA