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私の読書感想メモ

小川未明童話集より  赤いろうそくと人魚




北の地に住む人魚は人間の世界にあこがれ、生まれてくるわが子だけは
人間の手で育ててもらいたいと願っていました。
やがて月満ちて生まれた人形の子は・・

人間の業の犠牲になった人魚の娘の哀しい宿命を描く。
赤いろうそくと人魚 人魚は南のほうの海にばかり住んでいるわけではありません。
北の海にも住んでいたのです。
ある夜のこと、人魚のお母さんが神社の石段に赤ん坊を産みおとした。
赤ん坊は町の蝋燭(ロウソク)屋のおばあさんが拾って育てることになった。
老夫婦には子供がいなかったのだ。二人は娘をとてもかわいがった。
娘は少しずつ大きく育ち、家の蝋燭に赤い絵の具で絵を描くのが好きになっていた。
しかもその蝋燭がたいへんよく売れた。
なんでも、その蝋燭でお宮にお参りすると、船が沈まないという評判なのである。

ある日、南国から香具師(やし)がやってきて、娘が人魚であることを知った。
そこで買い取って見世物にしようとした。
 老夫婦は最初はもちろん断っていたが、ついに大金に迷わされて娘を売ることにした。香具師は鉄の檻をもって娘を迎えにくるという。娘は泣く泣く最後の蝋燭に絵を描いた。
悲しさのあまり真っ赤な絵になった。娘は連れていかれた。
その夜、蝋燭屋の戸をトントンとたたく音がした。
おばあさんが出てみると、髪を乱した青白い女が立っていた。「赤い蝋燭を一本ください」。
おばあさんは娘が残した最後の蝋燭を売った。
青いランプ 話は、青いランプの描写ではじまります。

どうしてこのランプが不思議なランプと言われたのかと聞かれたおばあさんは、
集まった人たちにランプの話をします。
そのおばあさんが子どものころ、外国の難破船からただ一人海岸に泳ぎついて助かった人がいました。
おばあさんの父親は、その人の面倒をよくみてあげました。
父親は研究心の深い人で、まだ行ったことのない外国の話を聞くと、
ぜひ外国へいって仕事をしてみたいと思うようになります。
ある日、沖に外国の船がやってきて、その人が国へ帰ることになります。
「いっしょに外国に行くなら今!」と決断を迫られた父親は、胸に灯った外国への憧れを消すことができません。
家族は泣いてとめますが、「5年したらきっと帰ってくる」と行い、外国へと旅だっていきます。
5年がたち、残された母親は、その晩もランプを灯して仕事をしていました。
「お父さんは約束なされたことは、けっしてお違いなされはしない。
今夜こそ帰っておいでなさる」と、母親は信じて暗い海の方を見ていました。
すると、不意に夜嵐が窓に吹きつけるように、幾羽ともなく、黒い海鳥が青いランプの火を目がけて、どこからともなく飛んできて、窓につきあたったのです。
次の晩も、またどこからともなく黒い鳥が、青いランプの火を目がけて飛んでいきました。
毎晩、青いランプに火をつけると、どこからともなく黒い鳥が押しよせてきたのです。
しだいにみんなはこのランプを気味悪がるようになり、いつかしまいこんでしまったということです。
月夜と眼鏡 「月の光は、うす青く、この世界を照らしていました。
なまあたたかな水の中に、木立も、丘も、みんな浸されたようであります。
お婆さんは、こうして仕事をしながら、自分の若い時分のことや、また、遠方の親戚のことや、離れて暮らしている孫娘のことなどを、空想していたのであります。」
 そして、目ざまし時計の音が、カタ、コト、カタ、コトと時を刻んでいます。光と音……。
 めがね屋がたずねてきたのです。
めがね屋の足下には、白や、赤や、青や、いろいろな草花が、月の光を受けてくろずんで咲いて、匂っています。すでにめがね屋が、月の光(夢)につつまれた不思議人物であることを物語っています。
 目が悪くなって、針に糸をとおすのがうまくいかないおばあさんは、めがね屋からめがねを買います。