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私の読書感想メモ

大岡 昇平著  事件

神奈川県の田舎町で起きた19歳の少年による恋人の姉殺害事件での、事件発生から少年の殺意の有無をめぐる裁判とその判決に
至るまでの過程を、フィクションとは思えないような抑制の効いた、圧倒的なリアリズムで描いています。

かって芸術院会員に選ばれながら辞退した。
その理由は「私は捕虜だったから国家的栄誉を受ける資格がない」会員は年間200万円を受給する。
一方日本推理作家協会では20万円。

大岡 昇平(おおおか しょうへい, 1909年3月6日 - 1988年12月25日)は、小説家・評論家・フランス文学翻訳家。
東京市牛込区新小川町生まれ。両親は和歌山出身で父は株式仲買人、母は元芸妓であり結婚後上京したという。
青山学院から旧制成城高等学校(世田谷区)を卒業後、京都帝国大学文学部仏文科卒(1932年)。スタンダール研究で知られた。
小林秀雄はかつての家庭教師で、中原中也とも小林を通じて知り合った。第二次戦後派作家の一人。

第2次世界大戦中フィリピンで捕虜となった経験に基づいて「俘虜記」を発表。 他の小説には「武蔵野夫人」「野火」「レイテ戦記」などがある。
評論「中原中也」も有名。 また、井上靖の『蒼き狼』を史実を改変するものとして批判し、井上靖との間で歴史小説をめぐって論争となった。
自身も史実に忠実な『堺攘夷始末』などの歴史小説に取り組んだ


母六夜・おじさんの話

出版社/著者からの内容紹介
だれにでもこだわりつづける若い日の「心のトゲ」がある。
母への思いをこめて書かれた大岡昇平の「母」「母六夜」をはじめ、大正、昭和初期に多感な時代を過ごした作家の作品を収録。

ここに記された幼少期の体験が戦前の日本社会での出来事であるのは事実です。
しかし人間に関する真実には時代はあまり関係ないかもしれません。たとえば「童謡」に、
馬跳びをしていて突然いじわるをされ怪我をする話がありますが、「私には人間がこんなに悪意があることをするとは思いも寄らなかった」という
この少年の私の発見は、子供社会でのいじめが大きな社会問題となっている現在では、なお一層の重さを持つと言えるでしょう。
──「心にささったトゲを抜く」より
中野孝次(作家)


野火(のび)
作者のフィリピンでの戦争体験を基にする。死の直前における人間の極地を描いた、戦争文学の代表作。読売文学賞受賞作。

題名の「野火」とは、春の初めに野原の枯れ草を焼く火のこと。

大戦中、敗北色が濃くなる中、フィリピン戦線の本隊を追われた田村。
食物がつき、飢えと戦う中、田村は仲間であった兵の死体を見つけ、逡巡する