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私の読書感想メモ

芥川  龍之介【作】 羅生門・鼻
改訂版岩波書店 (2002-10-16出版)

王朝末期の荒廃した都を舞台に展開する凄惨な人間絵巻「羅生門」、師漱石も賞賛した、長い鼻を持つ禅智内供の内心の葛藤「鼻」、
芋粥に異常な執着を持つ男「芋粥」、女をめぐる盗賊の兄弟の確執「偸盗」。
いずれも『今昔物語』『宇治拾遺物語』などに素材を得たもので、芥川王朝物の第一冊として編集。

芥川龍之介(1892―1927)は漱石門下で菊地寛らと第三、第四次「新思潮」を刊行。「鼻」「芋粥」で文壇に登場。
大正期の代表的文人であり、その鋭い主知的リアリズムで評価されたが、健康の衰弱と虚無的孤独感の中で睡眠薬自殺を遂げる。
「地獄変」「羅生門」など全作品149篇。

羅生門

主人に暇を出されたある下人が、羅生門の下で途方にくれていた。いっそこのまま盗賊になろうかと思いつつも踏み切れない。
羅生門の中へ入ると、人の気配がする。それは悪事であると認識してはいるが、生活の糧を得るために死人の髪を抜く老婆であった。
彼女はそれを、自分が生きるためであり、この死人も生前生きるための悪を働いたから、髪を抜くことは許されるであろうと言う。
老婆の行為に対しそれまでの考えを改め、正義の炎を燃やしていた下人だったが、その言葉に決心し、
老婆の着物をはぎ取る。そして「己(おれ)もそうしなければ、饑死をする体なのだ。」と言い残し、漆黒の闇の中へ消えていった


杜子春
唐の都に暮らす若者、杜子春は一文無し。ある春の夕方、不思議な老人と出会い、仙人の道をめざして旅に出た杜子春は、
人間にとって財宝や仙力よりも大切なものを身をもって学ぶこととなる。中国の伝記、『杜子春伝』に材を取った童話


蜘蛛の糸

カンダタは大泥棒や人殺しと様々な悪事を行った為に地獄に落とされてしまいました。
しかし、生涯で一度だけ善い事をした事がありました。それは小さな蜘蛛を助けたこと。
そこでお釈迦さまは、地獄の底のカンダタを極楽への道へと案内するために、一本の蜘蛛の糸を、カンダタに下ろしました。
カンダタは蜘蛛の糸をつたって、地獄から何万里も上にある極楽へと上り始めました。
ところが、糸をつたって上っている途中でカンダタはふと下を見下ろすと、数限りない罪人達が自分の上った後をつけていました。
このままでは糸は重さによって切れて、落ちてしまうとカンダタは思いました。
そこでカンダタは「この蜘蛛の糸は俺のものだぞ。お前達は一体誰に聞いて上ってきた。下りろ、下りろ。」と喚きました。
次の瞬間、蜘蛛の糸がカンダタのぶら下がっている所から切れてしまいました。カンダタは再び地獄に落ちてしまいました。
お釈迦さまは極楽からこの一部始終をご覧になっていました。
自分だけが地獄から抜け出そうとするカンダタの無慈悲な心が、お釈迦様には浅ましく思われたのでしょう。