プラウザの「←戻るボタン」で戻り下さい
私の読書感想メモ
「蛍の光」「牛若丸」から「ぞうさん」まで…すべては学校・雑誌・レコード・映画・ラジオを通じて拡まった!メディアと童謡をめぐる「ふしぎ」を解き明かす。 はじめに―童謡はどのようにして拡まったか “ほたるのひかり、まどのゆき…”―「蛍の光」(一八八一) “京の五条の橋の上…”―「牛若丸」(一九一一) “我は海の子白波の…”―「我は海の子」(一九一一) “どんぐりころころドンブリコ…”―「どんぐりころころ」(一九二一) “春は名のみの風の寒さや…”―「早春賦」(一九一三) “うの花のにおう垣根に…”―「夏は来ぬ」(一九〇〇) “青い眼をしたお人形は…”―「青い眼の人形」(一九二一) “雪のふる夜はたのしいペチカ…”―「ペチカ」(一九二四) “ショ、ショ、証城寺…”―「証城寺の狸囃子」(一九二五) “みかんの花が咲いている…”―「みかんの花咲く丘」(一九四六) “夏がくれば思い出す…”―「夏の思い出」(一九四九) “ぞうさん、ぞうさん、おはながながいのね”―「ぞうさん」(一九五一) <内容紹介> 子どもの頃よく聴いた曲、口ずさんだ唄は、何歳になっても忘れることなく、また誰もがいくつもの「もち歌」を持っています。蛍の光、牛若丸、我は海の子、どんぐりころころ、早春賦、夏は来ぬ、青い眼の人形、ペチカ、証城寺の狸囃子、みかんの花咲く丘、夏の思い出、ぞうさん。本書は、明治・大正・昭和と、日本人の心の琴線にふれる名作・名曲をとりあげて、作詞・作曲・歌唱、また時代と関わる「ふしぎ」なエピソードの数々を紹介。 |
<詳細目次> はじめに――童謡はどのようにして拡まったか 7 すべては教科書からはじまった/「歌の検察官」が派遣される/ 蓄音器とラジオの普及/「赤とんぼ」のふしぎ ほたるのひかり、まどのゆき……=@「蛍の光」(一八八一) 21 歌詞の意味など気にしない?/千島の奥も沖縄も/「蝶々」は女郎衆の唄/ もとをただせば讃美歌だった/国歌のふしぎ 京の五条の橋の上……=@「牛若丸」(一九一一) 36 長い薙刀ふりあげて/日本のグリム/物語唱歌の伝統/一寸法師の悪知恵/ 京都魔界ラインのふしぎ 我は海の子白波の……=@「我は海の子」(一九一一) 55 海の護りの聖地/日本人の心のふるさと/作詞者をめぐるふしぎ/ おとなのおもわくが見えかくれ/三つの海の唄がそろいぶみ どんぐりころころ ドンブリコ……=@「どんぐりころころ」(一九二一) 72 朝寝ぼうな坊ちゃん/ドングリはどうなったの?/子どもの好きな不安や恐怖/ これはふしぎ! 続きがあった?/続きは子どもの想像にまかせたい 春は名のみの風の寒さや……=@「早春賦」(一九一三) 88 これは採点がすこし……/信州の名歌にまつわる意外な関係/ ふたつの碑のふしぎ/爺ヶ岳の雪形/「知床旅情」とモーツァルト/ 文部省唱歌にあきたらなかった うの花のにおう垣根に……=@「夏は来ぬ」(一九〇〇) 105 ラジオの「歌謡曲」として/うの花はにおわない!?/どうして夏が来ないの?/ ラジオ番組でリニューアルされた詩/金魚の唄のふしぎ 青い眼をした お人形は……=@「青い眼の人形」(一九二一) 122 キューピー人形がモデルだった/青い眼のイメージ/西洋人コンプレックス/ 人形使節がやってきた/「人形を迎える歌」のふしぎ/そして人形は虐殺された 雪のふる夜はたのしいペチカ……=@「ペチカ」(一九二四) 140 えっ、ロシア民謡じゃなかったの!?/満洲唱歌の誕生/ ある日、せっせと、野良かせぎ/もうひとつの「ペチカ」のふしぎ ショ、ショ、証城寺……=@「証城寺の狸囃子」(一九二五) 156 証誠院のぺんぺこぺん/腹鼓のふしぎ/不倫騒動の板ばさみ/ ララ♪ かけましょか/歌声にそれぞれの想いをこめて みかんの花が 咲いている……=@「みかんの花咲く丘」(一九四六) 173 大反響を呼んだ二元中継/それでは間に合わないんですよ/ 創作秘話をめぐるふしぎ/スグオイデコウ/声が哀調を帯びているんだね 夏がくれば 思い出す……=@「夏の思い出」(一九四九) 190 水芭蕉のニオイ/そのほかに、何か?/高層湿原の夏/あっ、ベコの舌だ/ ちょっとお粗末なんじゃあ?/運命のふしぎ ぞうさん、ぞうさん、おはなが ながいのね……=@「ぞうさん」(一九五一) 207 ゾウがゾウであること/《猛獣》を処分せよ/殺すならわたしも殺せ!/ ゾウ列車がゆく/戦争とゾウの因縁のふしぎ あとがき 223 名作童謡関連年表 225 上田信道[ウエダノブミチ] 1953年大阪市生まれ。大阪教育大学大学院修了。大阪府立高校教諭、大阪国際児童文学館主任専門員を経て、神戸親和女子大学非常勤講師など。日本児童文学学会、雨情会会員。明治・大正期の芸術的児童文学や大衆的児童文学などの日本児童文学史の研究、童謡・唱歌史の研究、現代児童文学の評論などを手がける |
1 蛍の光 窓の雪 書よむ月日 重ねつつ いつしか年も すぎの戸を(時が過ぎると杉の戸をかけている) あけてぞ今朝は 別れゆく 2 とまるも行くも 限りとて かたみに思う(お互いに思う) ちよろずの(限りなく多い) 心のはしを ひとことに さきく(幸く=無事にとばかり 歌うなり (お互いに多い思い出をただひとことにこめて、さよなら、お元気でね) 3 筑紫のきわみ 陸(みち)の奥 海山遠く へだつとも その真心は へだてなく ひとえにつくせ 国のため (九州や東北と、互いに遠く離れていても心を一つにして国のために尽せ) 4 千島(やしまは日本の国の古い呼び方)のおくも おきなわも やしまのうちの まもりなり いたらんくにに いさおしく(いさましく) つとめよわがせ(兄弟・友) つつがなく (千島の奥も沖縄も日本の守りだ。どうかわが友よ、勇ましく無事に勤めをはたせ) (国のために尽せ、国を守れ−明治政府はそういう内容を国民に徹底させた) |