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私の読書感想メモ


ゴーリー,エドワード【著】 ギャシュリークラムのちびっ子たち―または遠出のあとで

AからZまでが名前の頭文字についた子どもたち。登場と同時に次々と怪我や死に遭う。
ただそれだけの、あっけなくも悲惨な話が、マザーグース風の2行ずつ脚韻を踏んだ軽快なテンポのうたに乗って進む、エドワード・ゴーリーの代表作。
左ページに英語の原文、右ページに白黒のペン画、画の下にキャプションのような邦訳がついた、怖い絵本だ。
階段から落ちる、びょうを飲む、火だるまになる、線路で圧死、沼でおぼれる、オノでグサッ、ケンカのまきぞえ…。
26人の子どもたちは、実に26通りの事故や犯罪に遭って、死んでいく。ここまで正面から当然のように子どもの死を陳列されると、
いったいこれは何?と考え込んでしまう。不幸の箱のような絵本なのに、繰り返し見たくなる。その魅力は、これら26人の子どもたちが、
私たちの身代わりの人形(ひとがた)として悪魔払いをしてくれる、と思わせるからかもしれない。
危険に満ちた遠出の後でも、ふつう多くの子どもは戻ってくるのだが、一見平穏な日常が、紙一重で死と隣り合わせていることを、
きゃしゃな手足、無防備で無垢な表情の、ゴーリー描く人形(にんぎょう)めいたこのちびっ子たちが、気づかせてくれる。


ゴーリー,エドワード[Gorey,Edward]
1925年、シカゴ生まれ。独特の韻を踏んだ文章と、独自のモノクローム線画でユニークな作品を数多く発表している。
またE・リアやS・ペケットらの作品の挿画や、劇場の舞台美術なども手がけた。その幻想的な作風と、アナグラムを用いた(Ogdred Wearyなど)ペン・ネームを使い分け、
たくさんの私家版も出版したために多くの熱狂的コレクターを生みだした。1960年代、70年代に精力的に刊行された作品群が、
90年代に入り再版され、タワーブックスでのユーモアコミック部門のベストセラーとなり、アマゾンコムのアート本部門では上位20以内の常連となっている。
書が、雑誌・アンソロジー掲載を除き初めての邦訳単行本となる。2000年4月15日、心臓発作のため死去。享年75歳

おぞましい二人
河出書房新社 (2004-12-30出版)
1965年に明るみに出た「ムーアズ殺人事件」。
イギリスで二人の男女が4年にわたり5人の子供を残虐に殺して荒野(ムーア)に埋めていた事実が明らかとなった。
「もう何年も本の中で子供たちを殺してきた」と自ら言うエドワード・ゴーリーが、この現実に起きた悲惨な事件によって心底動揺させられ、描いたのが本書である。

憑かれた鏡―エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談
◆空家(A.ブラックウッド)◆八月の炎暑(W.F.ハーヴィ)◆信号手(C.ディケンズ)◆豪州からの客(L.P.ハートリー)◆十三本目の木(R.H.モールデン)◆死体泥棒(R.L.スティーヴンスン)
◆大理石の躯(E.ネズビット)◆判事の家(B.ストーカー)◆亡霊の影(T.フッド)◆猿の手(W.W.ジェイコブズ)◆夢の女(W.コリンズ)◆古代文字の秘法(M.R.ジェイムズ)
河出書房新社 (2006-08-30出版)

典型的な幽霊屋敷ものから悪趣味ギリギリの犯罪もの、秘術を上手く料理したミステリまで、奇才エドワード・ゴーリーによる選りすぐりの怪奇小説アンソロジー。